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「機械が止まってしまった」という問題に対するTにおける5Wの実践を例示しています。
この事例を見ると、最初の「なぜ?」に対する答えとしては「ヒューズ交換」が、2つ目の「なぜ?」に対する解決策としては「潤滑油の注入」が回答となっていることがわかります。 しかし、これらだけでは、根本的な問題の解決とはなりません。
こうした対策をとっただけでは、数カ月後には機械が再び止まってしまいます。 それはなぜでしょうか?機械が止まる真の原因は、「機械にろ過器が付いていないため、切粉が入り、ポンプが潤滑油を十分くみ上げられない状況になるため」であり、最終的な「切粉の問題」を解決しないかぎりは、真の解決にはならないからです。
つまり、「なぜ?」の追及が甘いと、本源的な問題にはたどり着けないことを、この例は示しています。 Tや「外資系コンサルティング・ファーム」が励行している「なぜ?を五回繰り返すこと」は、物事を論理的に考える(ロジカル・シンキング)ために、日常の生活でも有効な方法です。

さて、実際の社会現象やビジネスの場面では、問題解決のために「なぜ?」を繰り返していると、その「原因」が一つだけでなく、複数存在するケースが多々あります。 こうした場合に、想定される「原因」一つ一つに対して、「真因」を考え、それを図にしていきます。
こうして描かれる図は、原因がたくさんに枝分かれした「ツリー」の形をしています。 この枝と枝で描かれた2つの事象の聞には論理的な?ながりがあります。
こうした論理の連鎖を図にしたものが、「ロジック・ツリー」です。 とくに、ここで取り上げたような問題とその原因を分解していくことででき上がったツリーを、「イッシュー・ツリー(問題解決の樹木こと呼ぶこともあります。
「ロジック・ツリー」は、問題の原因分析だけでなく、複数の解決策の仮説構築、さらに、自分の考えをわかりやすく伝えるプレゼンテーションの準備にも有効です。 「ロジック・ツリー」は、コンサルタントご愛用の優れもののツールなのです。
さて、今まで見てきた「ミーシー(MECE)」と「ロジック・ツリー」は、「外資系コンサルテイング・ファーム」(論理的思考法)このコンサルタントが頻繁に用いる「ロジカル・シンキング」の中核をなすスキル(技術)です。 この「ロジカル・シンキング(論理的思考法)」に加え、「外資系コンサルティング・ファーム」の智恵のヒミツには、あと2つのキーワードがあります。
その一つが、「ファクト(事実)べース」という考え方、もう一つが、「仮説思考」です。 この三つは、絡み合いながら、コンサルティングの基礎を構成しています。

ベース」について、見てみましょう。 「コンサルティング・ファーム」が、クライアント(顧客)から相談を受けて、最初に行うことは、徹底した事実確認作業です。
第2章で、ロケット・サイエンティストが薄暗い部屋で伝票を一枚一枚精査していた状況をお話ししましたが、「コンサルティング・ファーム」では、こうした綾密な事実の積み上げから、クライアント(顧客)の思い込みなどを排し、問題の本質と解決策の糸口に迫るのです。 まず、「ファクト(事実)先ほどの「なぜ?」を五回繰り返す「5W」においても、それがファクト(事実)に基づくものかが、きびしく問われます。
たとえば、筆者が最初に「外資系コンサルティング・ファーム」のコンサルタントから、ヒアリング(聞き取り面談)を受けたときに、こんなやり取りがありました。 ~~については、どうして実行できないのでしょう?「それは、かくかくしかじかの過去のしがらみがあるからです」それをあなたは、ご自分で調べましたか?いいえ、前任者からそのように引継ぎを受けましたし、上司もそう言っていますから」そうだとすれば、それは、あなたの思い込みにすぎないかもしれませんね。
その「しがらみ」が事実であるかどうかは、誰に聞けば、あるいは何をすれば、わかると思いますか?こうして、組織内のさまざまな「常識」が疑われ、ファクト(事実)に置き換えられていくのです。 私たちは、とかく印象論で物事を捉えがちです。
そして、自分の経験や思い込みで判断を下して、失敗することが多くあります。 「外資系コンサルティング・ファーム」のやり方は、「ファクト」を大切にすることでこうした愚を避けることができる、ということを教えてくれるのです。
今まで説明したように、ある課題を構成する事象をすべてミーシー(MECE)に分け、それぞれについて「ファクト」を確認する作業は、膨大な時間と労力を要します。 通常、「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルティング」などの「戦略系コンサルティング・ファーム」が行う一つのプロジェクトは、三カ月程度が区切りとなっています。
この限られた時間の中では、事実関係を完全に調べ上げ、その上で課題の解決策を導き出すことは、事実上困難です。 この問題を打ち破る(ブレーク・スルー)ためにコンサルタントがよく用いるH思考法dがあります。
それが、「仮説思考」です。 すなわち、図表刊のように、「外資系コンサルティング・ファーム」のコンサルタントは、クライアント(顧客)から受領した資料を読み込み、社内の主要関係者からヒアリングを行った段階で、それまでに得られた情報と過去の類似案件での経験などから、「解の仮説」をつくるのです。
つまり、間違っている可能性はあっても、「本源的な問題はどのあたりか」「どのようにすれば解決できそうか」という仮説を早い段階でつくるのです。 そしてそれを「ファクト」で検証し、その結果で「解の仮説」を修正します。
そして、また検証を行うのです。 すなわち、【仮説立案】←【行動/情報収集】←【検証】←【進化した仮説】というサイクルを何度も回すことで、真の問題点と「解」に近づいていくのです。

今まで見てきたように、現在のコンサルティング・ファームの原型をつくった「マッキンゼー」のパウア氏が提唱した「ファクト(事実)ベース」「分析的アプローチの原則は、今日も受け継がれています。 しかし、時代とともに社会や経済は発展し、問題はより複雑化していきます。
そのため、限られた時間内に、なるべく有効な「解」を見つけ出すためのさまざまな工夫が必要となってきました。 こうした背景から、「外資系コンサルティング・ファーム」がよく用いるのが、「型」、すなわち「フレームワーク」の活用です。
コンサルタントは、「ロジカル・シンキング」をいつでもどこでも行いますが、定の問題を考える際には、「フレームワーク」を用いることがよく見られます。 そして、この「フレームワーク」には、開発者個人や開発したコンサルティング・ファームの名前が付いたものもあります。
「外資系コンサルティング・ファーム」は、さまざまな症状に効く(と思われる)「フレームワーク」を開発し続けています。 それは、まるで医薬品メーカーによる新薬の開発競争や、自動車メーカーによる新車の市場投入競争のような様相を呈しています。
ここで、「戦略系コンサルティング・ファーム」が、民間企業をクライアント(顧客)として、その「戦略」についてコンサルテーシヨンを行うケースを想定しながら、これら「フレームワーク」がどのように用いられているかを見てみることにしましょう。


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